今回はREIレイの保育を具体的にご紹介していきたいと思います。私岡本が研修依頼を受け(安芸区ステップアップ研修年4回・西区ステップアップ研修年4回・私立山本まごころ保育園・私立春日野まごころ保育園年6回)を紹介しようと思います。研修に配布した資料をアトリエREIレイこども舎の保護者の方に向けてお配りいたします。
保育の中で絵を描くことが大切だと考えるけれど、どうすればと思う保育士が大勢なのです。私岡本が、作家としての立ち位置から、保育士が子供と向き合ったときに、楽しく絵を描く機会をとらえられるよう伝える研修を行っています。依頼を受けての絵画研修も12年目となります。これでいいのかと思案しながら、実践指導と講義のカタチで行っています。アトリエREIレイこども舎での活動の様子を多く使いながら指導を行わせていただいています。年齢による表現の発達を伝えることができ、専門知識があることが依頼をされるところでしょう。
今年度はアトリエREIレイこども舎での芸術教育(アート保育)の考え方を保護者の方々にご理解していただけるように紹介していきたいと思います。小さな保育園だからこそできる丁寧な園全体でかかわりを大切にし、保育全体を考えていきたいと思っています。若い先生たちは、イメージの作り方が柔軟です。子供たちと一番近いからですかね。それが子供たちにとても大切と思っています。様々な素材を使うことに柔軟に受け止めて子供たちに伝えています。保育士自身が、子供たちに学びとらせていきたい工夫や思いを岡本が具体的にかかわり、保育士のアイデアや工夫をより伝えやすくするにはどうすればよいかを指導的立場である岡本がかかわっております。
生活の場面での育ちの指導は副園長・主任が担任との日々の生活でかかわり一緒に考え、ルールやマナーの指導を行なっています。
ここからは、資料です。
みんなで鑑賞会(ほし・にじ・そら組)
~脳を育てる美術教育を考える~
*絵を描く道具の名前を覚えてね。
画用紙,・パレット・筆洗・筆・雑巾
*わからないことがあったとき、すぐに答えを出さずに、まわりをみて気づくよう言葉をかけていきましょう。コミュニケーションのきっかけになります。とても大事なことだと思います。
(思ったままのことばを並べてみました)
「あめをかこう」「なにいろかな?」
春日野まごころ保4歳児
・絵の具を使うなら、子どもたちの遊んでいる前で、静かに、絵を描く準備をしていきます。子どもたちの何だろう?やってみたいな。触ってみたい。好奇心をそそるのです。(実は、この声をかけずに準備をする時間がとても大事です。子どもたちのモチべーションを高めます。)
・いつも、最初に見に来た子どもたちから、準備の声掛けを小さな声でさせていきます。
・「何色いるかな」「あめの形どんなかたち? なにいろかな?」「まるいね」「おおきいの、ちっちゃいの、いろいろ、いっぱい」
・あめの歌を歌うのも、意識してくれます。
あめの大きさや色に気づくよう声をかけてみます。
でも、大事なことは、「あめを描きなさい」とは言わないのです。でも、絵の中で、投げかけから“あめ”を描いてくれる子はたくさんいます。雨を知っているからですね。
点や線で、あめがたくさんできます。それに体験したことが絵の中に加わってくるのです。
絵の具を使うなら、四つ切の画用紙が描きやすいのでは。筆は10号から12号くらいのものが描きやすいと思います。絵の具を使ったあと、クレヨンやマジック、色鉛筆の併用もすると、持続して集中時間が長くなります。筆に使い慣れてくれば、太い筆と細い筆(4号くらい)を用意してもいいのではないでしょうか?気に入ったものを使うようになります。
・クレヨンや色鉛筆を使うなら、八つ切り画用紙やそれよりも小さい紙が描きやすいと思います。
・REIレイアトリエ子供たち(にじ組・そら組)「恐竜とドラゴン みんなのきょうりゅうは?」
表現する大きさが違うので、画面の調節が必要です。クレヨンや色鉛筆マジックは描く線が細いので、細かい表現にむいています。反対に、絵の具で八つ切り画用紙は、描きにくいと思います。筆が細いと大丈夫です。
適度な余白が必要です。画用紙が小さいと思い切り描けません。適度な大きさは、保育士が描画の時間を何度か設定を経験して、適当な画用紙を選んでおき、子どもに選ばせてみましょう。
その自由さが、絵を描く興味を深め、やりたい気持ちを持続します。
・紙の大きさを自分で決めよう。大きさ、長さの紙、どれくらいがいいかな。
・いろいろなカレンダーの大きさを使って、形に気づかせ、自分で選ぶ工夫もいいとおもいます。なぜなら、ここでも子供の脳が動いているからです。
・新しい画材について
「コンテって知ってる?不思議だね。魔法の粉だよ。フワーッて広がるね。」
「大事なところ,素敵にしたいところ 3箇所くらいかな。よく考えて!」
一番大事にしたいことを決めるのは、自分自身の思いを出すきっかけになります。
“考えること”につながるとおもうのです。
西条ちゅーピー教室1歳半女児
・“考えて描こうとすること”を認めていきます。
いろいろ試してみよう。描く・・強く弱く太く細く
クレヨン・マジック・・どんな風に使ったら、使いやすい?
・指先に力をいれて描くんだね。太い線,細い線,波線,ジクザグ線強い線,弱い線
どうしたらできるかな?考えてみよう!
・絵の具の濃さは、準備する絵の具の量と筆洗バケツの加減により変わってきます。
絵の具の量が多く、濃いものを準備すると、子どもたちの絵全体が濃く仕上がります。反対に少し薄めたものを準備してパレットにとると、色変えをするとき自然に薄くなるので、クラス全体の作品が薄く仕上がります。少しの微調整で色がきれいにみえます。(ほんの少しの工夫かもしれません。)
・筆の扱い方を少しずつ自然に身につきますね。無理をしないで,興味を大切にしながらいろいろな線を覚えていきましょう。描けない。描きたいと思った時が、保育士の出番です。懸命に覚えようとするときです。その時 脳が動いているときなのです。
・お話の導入は私のアイデアです。描くきっかけを作るだけです。季節やクラスのブームなどをきっかけに描画あそびをはじめます。子どもたちがイメージしやすい言葉を選んで、楽しく話してあげたいですね。そうすることで、子どもは、自分のイメージを作っていけるのではと考えます。どう思いますか?
きっかけを保育士が自分らしく考えましょう。
「アイスクリーム好き?カキ氷?」ごう組(2歳児)
*2歳児でも5歳児でも自分から発信させることは同じです。年齢の違いは、器用さや考え方が少しずつ複雑になっていますね。年齢によって、ちょっとイメージを深く広げられる言葉がけが変わります。必要なことばを選びましょう。これが、難しいと思われるのかもしれませんが、保育士も脳を使いましょう!
・ともだちが考えていないアイデアを考えついたらすごい!とても大切な行動です。
これからどう描こうかな?(にじ組)
みんなの絵でおはなしをしよう。(鑑賞の時間)
*年長児さんくらいになると描く時間が長くなります。鑑賞の時間がとれないかなと思ったら、描いている途中の時間に子どもたちに少しずつ紹介してあげましょう。(お昼ご飯の時間までに終わるようにします。)できるだけ、その時間に描いた絵をみんなで共有させてあげると表現のレベルを上げることができます。みんなの作品をみることが学びです。
らぷ組1歳児 厚紙に描く お別れペインティング (2017・3月) できあがり
*子どもが思いを込めて描いた作品を保育士が思いに添っていないお話しをすることに疑問があるとの意見があります。当然の疑問です。絵は人によっていろいろ見え方が違うものです。保育士の私には、「あなたの絵はこんなに見えるわ」という思いでお話しをしてあげるのです。「そうか先生はそんなに見えるんだ。」と一つの考えとして受け止め、楽しみにしてくれます。それもコミュニケーションの方法ではないでしょうか?いろいろご意見があることでしょう。意見をくださいませ。よい描画の時間をみなさんで作っていきましょう。
*描いた絵に,たのしいお話を作って子どもたちに紹介してあげましょう。(詩を語りましょう!)保育者の感じたことをたのしくお話してあげると子どもたちも嬉しく感じられるのでは。保育士の感性を磨こうと思って,たのしいイメージを持って,子どもの絵から感じたままを素直な気持ちで,子どもにもどった気持ちで話してあげましょう。楽しみにきいてくれることでしょう。
はじめは、ちょっとドキドキしますけれど、子供の絵を見ながら、お話しづくりをするのは、とても楽しいですよ。自分がどんな風に感じているか自分自身を見直すことができると感じています。
2歳児 未来のポロック! MOMA美術館(アメリカ) ジャクソン・ポロック
アメリカの現代アーティストの表現方法を子供たちと一緒に遊びとして体験させた一コマ
絵を描くことは自由でいいのだよ。と体で体験させた一日 若い保育士の自由な発想が遊びを広げます。
<よかったと思うこと・難しいと思ったこと・気づき・感想・考えたこと・その他>
*なんでも書いておきましょう。その時の気づきの積み重ねが保育士の脳を育てるのです。
子供の絵を楽しもう~子供ってすごい!
2017・7・24 岡本礼子